自転車で長距離を走るということ

先週の土日に、伊豆にある狩野川流域のサイクルイベントを取材しました。これは記録撮影を主軸にした、カメラのお仕事なのですが、ぼくの場合は変則的で「実走記録」となります。もともと自分が望んだもので、場の雰囲気をリアルに感じて参加者と同じ目線になったほうが良い記録が残せると思い、クライアントに無理いってそうしてもらいました。一眼レフカメラを首から下げて(背中には予備カメラ)参加者と同じ行程をこなすのは難しいのですが、でもこのサイクルイベントは「競わず、自分のペースで完走を目指す」ものなので、なんとかやっていける訳です。メリットは前述の通りですが、デメリットもあります。走行している時間は基本的にシャッターを切れないので、どうしてもカット数が少なくなってしまいます。それに移動スピードに限界があるので行ったり来たりはできません。例をあげると、ぼくの場合はトップ集団でスタートして、どんどんポジションを落としていき、最後はビリでゴールするのを目指しています。くまなく撮影するにはそれしか手段がなく、いちど話された集団に再び追いつくのは事実上不可能なのです(休憩ポイントはそういった意味でチャンスです)。

さて、このイベントは800人を超える大イベントで、しかも12回目というロングセラーイベントでもあります。距離は山岳60キロコース(土曜日)、ゆるやかな勾配&平坦な道の100キロコース(日曜日)となり、割合としては100キロの参加者が圧倒的に多いです。走行環境、都心からのアクセスの良さ、地元のあたたかさなど、数あるサイクルイベントのなかでもトップクラスに位置すると思われるので、個人的にもおすすめです。

ここからすこし本音を。60キロコースは標高1000mにちかい山岳地帯を走るためビギナーには敬遠されがちのようです。でもこれが最高に気持ちよいです。海を見下ろしながら(運が良ければ富士山を眺めながら)稜線を縫って走るハイウェイは、オープンカーでデートをするカラオケイメージシーンのような雰囲気であり、せっせと登る坂道だって心地よい風が帳消しにしてくれます。登山に置き換えてみましょう。登山ならば1000mの標高差なら3時間あればほとんど誰でも登ることができて、たどり着いた山頂からの眺めは格別に違いない。だからチャレンジする価値は十分にあると思うのです。しかもビギナーであるほど、達成感は大きいはずなのに…。

でも日曜日の100キロコースと比べて、この60キロコースの参加者が1割も満たない。それがもったいないと感じました。ぼくの実走(過去2回)の感じでは、60キロのほうが数倍楽しかったのですが。でも安全圏をねらって、チャレンジに踏み切れないひとの多い現実…。

ある程度の安全が確保されているのだから、たまの休日くらいハイリスク・ハイリターンはありだと思うのでした。それほど素晴らしくキツい60キロコースなのでした。

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